知っておくとためになるかもしれない概念

Forzaはドライビングシミュレーターだから現実のドライブで速く走る方法を調べればタイムもあがるはず!なんて実車のドライブ理論をあさって居た頃がありました。かなり痛い黒歴史ですが、それなりに役に立ったと思うものもあります。それが摩擦円荷重の概念です。

摩擦円の法則

これはタイヤのグリップは「タテ+ヨコ=一定」という法則です。例えば、タテ(加速or減速)でタイヤのグリップを100%使ってる状態で、ハンドルをヨコ(左or右)に切っても曲がらない。なぜならグリップが余ってないからです。

そして、その「タテ+ヨコ=一定」のグラフをわかりやすく描くとこうなります。

これが有名な(?)摩擦円。フリクションサークルとも言います。

縦軸と横軸が加減速と左右の力で、円の範囲内がタイヤがグリップ出来る範囲を表しています。
例えば図の赤点の位置だと、車が限界のフルブレーキングをしてる状況になります。

この状態で理想のコーナーリングを考えると、それはどのようなものになるのか? タイヤのグリップはタテヨコで一定なので、それをギリギリ越えないようにコーナーへ持っていきたいわけですが

答えはこんな感じでグリップの限界をなぞっていくのが、究極のコーナーリングとなります。それを実際の動作で表現するならば
1.コーナーに入る手前でフルブレーキング
2.コーナーに差し掛かると同時にブレーキを滑らかに抜きつつ、ハンドルを切り始める
3.コーナーの一番最中(ハンドルを最も切っている場面)ではアクセルブレーキをゼロにする…という感じ。
―言葉にするのは簡単でも実際すごく難しいですけどね。ちょっとでもオーバースピードやブレーキのタイミング誤ると、途端にグリップの限界を越えてスピンすることになるので。

で、実はこの摩擦円はForzaの画面上で見ることが出来ます。走行中やリプレイの時に十字キーの上を押して、そのまま右を押すと表れるこの画面。

これが各タイヤの摩擦円です。(丸い外枠がタイヤのグリップ限界で、中心から出てる棒が実際にタイヤにかかってる力)
だから初めのうちはタイヤから出る棒が、この円の中に常に収まるのを意識して走ると
無理の無いスムーズな運転ができるようになります。そしてそれを出来るだけ円の限界付近に近付けて走ろうとすることで、知らぬ間に速くなっているはずです。

とは言えフリクションサークルを常に確認しながら走らなくとも、タイヤのグリップ限界をギリギリ越えない範囲で走るのが速い。そしてタイヤのグリップ限界はタテ+ヨコで一定。ということだけを意識して練習すれば、それだけでも違うと思います。

ちなみに

コーナー中に横方向グリップを100%使っている状態で、ブレーキを踏むとどうなるのか



こうなります。この状態では完全にグリップ限界を超えてタイヤが滑ってしまっているので、大幅なタイムロスになります。

荷重の概念

上記画像の摩擦円(フリクションサークル)を見てると、円の大きさが一定ではないことがわかります。なぜそうなるのかというと、各タイヤの摩擦円の大きさは、それぞれのタイヤに掛かる荷重によって常に変化するからです。
言葉にするとややこしいけど、実際の車の姿勢で考えると至極当然なことで、例えばブレーキを踏んだら車は前につんのめるようになりますよね

このとき前輪に荷重が掛かるので、フロントタイヤの摩擦円は大きくなり、逆にリアタイヤの摩擦円は小さくなるという現象が発生します。これが荷重移動です。

Forzaの画面で見るとこういう状況です。ブレーキ時は後輪より前輪のフリクションサークルの方が大きいですね。


では、その前後左右の荷重移動をどうやって速さに繋げていくかですが
これは様々なパターンがあるので全ては説明できないし、私が知らないこともあると思います。ですがよく言われるのは

  1. コーナー進入のブレーキングをギリギリまで遅くすることによって、舵取りのフロントタイヤに荷重をかけて摩擦円を大きくし、その状態でハンドルを切ることで通常よりクイックに車を曲げて、コーナーに入ることが出来る(低速コーナー進入とか)
  2. FRのハイパワー車とかだとコーナー脱出時、リアタイヤに荷重が乗っていないままアクセルを踏むとホイルスピンしてしまうときがあるので、アクセルを一瞬じわっと踏んでリアに荷重を掛けたあと、一気に踏み込んで効率的に加速させるようにする(ヘアピン脱出とか)
  3. コーナーでアンダーを出してしまったとき、タイヤのグリップ限界を越えない程度に”ちょんっちょんっ”とブレーキを踏んでやり、車を前荷重にしてフロントタイヤに荷重をかけ、アンダーを消してやる(鈴鹿の逆バンクとかでよく使います)
  4. ヘアピンコーナーではフルブレーキングで侵入して、フロントタイヤに思い切り荷重をかけてクイックに曲がるけど、高速コーナーでは前後4本のタイヤに仕事をさせたいのでブレーキは適度に踏む程度でリアにも荷重を残したまま侵入する(筑波の最終コーナー等)

―等、様々なシーンで適切な使い方が違います。当然ドライビングスタイルによっても分かれるでしょう。しかしそれらの知識を身につけることも大事ですが、それ以前に自分の車が今どういう姿勢で走っているのか?それを常に想像しながら走ることで、自然と適切な荷重移動が出来るようになると思いますし、その方が大事だと思います。

これらの概念は、知らなくても走っているうちに何となく体でわかってくる人が大半だとも思いますが、最初から意識して練習することで上達速度が上がるんじゃないかなと思います。